今朝見た夢。

私はガンで、余命1ヶ月程度となり、病院のベッドで緩和ケアを受けている。
おかしいな・・・・診断の結果、なんともなかったはずなのに。
検査して、MRI撮って・・・、あれこれ考えた2週間。診察室での先生とのやりとりも、クリアに覚えている。
「大丈夫です、異常は見つかりませんでした。非常に健康な内臓ですよ」 と言われて、診察室の空気がホッと緩んだあのときのことも、しっかりと覚えているのに。
あれが夢だったのか。いやにリアルな夢だったな。
ほっとしてたのに。

私がガンだと分かったときにはもう手術もできる状態ではなく、『より良い生活』 を送ることだけしか残されていなかった。
それでも、分かったのは早期のうちで、ひどい自覚症状も少ない時期だったため、私なんかは元気に日々をすごす時間があった方だろう。
といっても、「年齢的に進行が早い」 とかで、普通に生活できたのも半年そこそこだったけれど。

余命宣告がおりたので、生命保険会社から大金が振り込まれ、それで私は新型ロードスターを買った。
私が死んだらいらなくなる車だけれど、今まで乗っていた古ぼけたロードスターが車庫にある方が、なんとなく私の不在を強調するような気がして、それなら、と新しいロードスターを買うことにしたのだ。
これから10数年、カブトが乗りながらメンテナンスして、いずれ息子が免許を取ったら乗れるかもしれない・・・・そんな期待もこめて。

オープンクラスで久しぶりにジムカーナにも出た。
何の手も入れてないロードスターで20年ぶりに走ったわけだから、結果は当然ビリだったけれど、楽しかった。
オフィシャルに事情を知ってくれている人がいて、表彰式の後にこっそりと表彰台に立たせてくれた。
レーシングスーツで息子を抱いて、写真を撮ってもらった。
いい写真だ。私が死んだら、これを仏壇に飾ってもらうことにした。

元気なうちに、家族で旅行にも行った。沖縄の海はきれいだった。
ダイビングもした。
ハンググライダーもやった。
元気なうちは、仕事も続けた。
不思議なことに、空や海などの自然の真ん中にいると、少しずつ心が落ち着いて死に向かえるようになった。

そのうち、だんだん痛みがひどくなり、じっとしていても辛くなってきた。
ギリギリまで自宅にいたかったけれど、モルヒネを使うことになったので、入院した。
気がつくと私は、60すぎのおばあちゃんみたいに痩せて、干からびて、カサカサになっていた。
今の私を誰かが見ても、私が43歳だなんて、私が私だなんて、きっとわからないだろう。

モルヒネによる痛み止めを始めて、だんだんと目を覚ましている時間が短くなってきた。
起きているときも、ぼんやりとして、その代わり、怖さも焦りも悲しみもなく。
ああ・・・・・大事なことをまだ言ってない。
私が死んだら、カブトとハルが一番笑顔でいられるようにしてね、と言うつもりだったのに。
優しくて思いやりのある、ハルのことを愛してくれる女性が現れたら、その人と再婚していいんだからね。2人が笑顔でいられるやり方が、一番正しくて一番いいことなんだからね、と。

たぶんもう、最期が近いのだと思った。
看護師さんに、「夫と息子と話をしたいので、モルヒネを一度切って、頭をはっきりさせたい」 と言ったのだけど、薬をとめると、全身をひきちぎられるような激痛が襲い、まともな会話なんてできない。
何かを考えようとするけれど、思考までもを痛みがバラバラにちぎってゆく。


・・・・・・・ふと気づくと、どこかの山にいた。
木がはらわれ、ひらけた広場に、ハンググライダーの離陸台がある。
周りには、誰もいない。何も聞こえない。葉ずれの音と、風の音だけ。鳥の声すら聞こえない。
なんとなく、離陸台に歩いていった。
ギリギリのところに立つと、足元には遠く麓の田んぼが見えるだけになった。
不思議と怖くない。

何も考えず、一歩を踏み出した。
すっと落ちてゆく感覚の後に、ふわっと体が浮いた。
ふと見ると、私の背中から大きな羽が生えている。
鳥の翼のようでもあるけれど、よく見ると、ハンググライダーの形をしていて、もう一度よく見ると、パラグライダーのようにきれいな色に彩られた翼になり、自分の肩あたりを見ると、ヤマバトの模様の羽がついている。
そうか、これは私の脳がもつ 『翼』 のイメージなのか。
さまざまなイメージがモザイクのようになり、私の背中から伸びている。
その翼は力強く風を受け、私の体を高く高く運んでゆく。

「おかあさん・・・・」 後ろで息子の声がする。
そうか、と分かった。
私は死んだのだ。今、この瞬間に。
あんなに激しかった痛みももうなく、痛みより強い悲しみと寂しさと焦りも、今はもうない。
空はどこまでも青く、風は優しく、多分私はこのまま遠くまで飛びながら、その一部になるのだ。
全ての一部に、還るのだ。

だいじょうぶ。
お母さんの体は死んじゃったけれど、あなたを取り巻く全てになる。
私は全てになり、全ての一部になる。
あなたの一部になる。
私はもう、寂しくないし、悲しくない。なぜなら、全ての流れが分かったから。

空はだんだん白くなる。私の体も、翼も、ぼんやりして周囲との境界も曖昧になってくる。
還るときがきたのだ。全てに、還るときが。


・・・・・・という、夢でした。
足を踏み出し、すっと体が落ちかけた後に、体が風にのって浮き上がる感覚がとてもリアルでした。
それと同時に、全ての痛みが体から抜けていった。
『死』 って、こういう感じで訪れるものなのか、私の脳が持つイメージがそうなのか。


Facebookをやっていない方にはよく分からない話だったかもしれませんが、実は先月、みぞおちと背中の強い痛みで病院にいきまして。
そのときに念のためにやった検査で、膵臓が悪いのではないかと聞かれまして。
先生がしつこいくらいに 「身内でガンで亡くなった人はいないか」 と聞くので、ちょっとビビッたんですね(笑)
結局、大きな病院でMRIを撮ってもらって、何事もなかったことが分かったのですが、結果が分かるまでの2週間は結構なかなかきついものがありました。

私はあまり、実際の生活とリンクした夢は見ないのですが、よほど私の心の中では強い印象があったのでしょう、『あの検査の、もうひとつの結果』 みたいな夢になりました。









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