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長くなるので、分割して書いております。
滅多にない経験だし、こういう話を聞ける機会もなかなかないと思うので、割と・・・いや、かなり詳細に書いております。
冗長にすぎるかもしれませんが、私にとっても思い出深い出来事ですので、できるだけあったことを残しております。
お時間のある方、興味のある方はお付き合いください。


初めて読む方は、『37W0d:手術~その1~』 からドウゾ。



ああ、手術終わった。やっと終わったよ・・・。
時計を見ると、1時間56分。予定の2時間をギリで守ったな。

すぐに手術室を出るのかと思ったら、移動式レントゲンで術野のレントゲンを撮影。
「イイダさん、こんな感じです」 とケンが見せてくれるが、当たり前だが良く分からないので、 「ははぁ、なるほど、ありがとうございます」 と答えた。
その後、採血・・・なのだが、極度の貧血のために全く血管が取れないらしい。

「仕方ない、まだ麻酔効いてるから足の甲からいきますよ」
「お好きなところからドウゾドウゾ・・・」


モーローとする意識の向こうから先生たちの会話が聞こえる。
体温が非常に低下していること、貧血のために頻脈であること、出血が現時点で2900であること、すぐに輸血を開始すること・・・。

「イイダさん、出血がひどかったので他家血を輸血しますよ」
「分かりました、先生が良いと思うようにやってクダサイ・・・なんならついでに余分に入れて、手術前より血気盛んにしてもらっても結構デス・・・」
「輸血は必要な分しか入れませんよ(笑)」


手術室を出ると、廊下でカブトが待っていた。
しかし薄れる意識の中で、自分が何を言ったのかは覚えていない。カブトの姿も、霧の中にいるようにおぼろげだ。
なんとなく覚えているのは、「赤ちゃんと会った?」 という一言だけ。


病室に入ると、慌しく色んな機械が繋げられる。
キンキンに冷えた血液が輸血されるが、針の場所に激痛が走る。
漏れているのかと思ったが、どうやら貧血で収縮した血管に、さらに冷たい血液が入るため、血管がさらに収縮して痛いらしい。

「キンキンに冷えてるのかあ・・・これがキンキンに冷えたシャブリとかウォッカなら文句ないけどね・・・」

とつぶやいたら、「イイダさん、まだ余裕ありますね!残念ですがシャブリもウォッカも入れませんよ(笑)」 と看護師さんに笑われた。


そこからまた、意識はモーロー。
頻繁に様子を見に来る看護師さんと、何度も病室を出入りするカブトの気配を感じつつ、眠るでもなく覚醒するでもなく、夢うつつの状態が午後いっぱい続く。

心配そうにベッド脇に付き添うカブトに、手術室での様子などを話そうと思うが、思考をまとめる気力すらない。
何かを話そうとするたびに、それを頭の中でまとめる時点で力尽きる。
ははあ・・・もしかして、人が死ぬときってこういう感じで力がなくなっていくのかな。
そうだとしたら、死ぬときって恐怖を感じないのかもしれない。こういう感じなら、死ぬときって怖くないだろうな・・・。

そんなことを思いながら、夢と現をいったりきたり。

途中、深刻な顔をした担当医チームが病室に来た。
どうやらかなりの出血があったらしい。トータル4000??4000ってすごいのすごくないの、どっちなの・・・と思うが、質問する気力すらない。

心拍が130くらいあり、これが90を切るくらいになってくれないとまずいこと、引き続き輸血すること、出血が止まっていないこと、このまま出血が止まらなければ、次の処置が必要になること・・・・・。
隣の機械を見ると、確かに127という数値が出ている。そうか、これが落ちないとだめなのね・・・でも私には何もできないや。

何度も意識が途切れ、目を開けるたびにカブトの心配そうな顔が見え、繰り返すうちに病室は暗くなっていた。
夜かあ・・・・・。
ふとモニターを見ると、心拍は100を切るか切らないかまで落ちている。
「良くなってるのかな・・・」
「良くなってるよ、大丈夫」

また何度も意識が途切れ、目が覚めて・・・を繰り返すうち、ついに心拍のモニターが90を切るようになった!
出血の量を見に来た看護師さんも、「ようやく出血がおさまりだしましたね」 と、ホッとした笑顔を見せてくれた。
カブトを見ると、お、焦点が合うようになった!
後から気づいたが、それまでは目の焦点を合わせることすらできなかったのだった・・・。


みんなを安心させた数値w
P1040283.jpg

どうやら川岸から戻ってこれたようです。タダイマ~w
P1040284.jpg


それにしても。
この日の午後の記憶はほとんどない。
普通は、帝王切開の後は6時間くらい安静にした後に歩行訓練が始まるらしいが、とてもじゃないが6時間後はまだ川岸を歩いてる最中であったw
私の手術は大変だ、とはどの先生も口を揃えて言ったものだが、まさかここまでとは。
みんな大げさに、最悪のケースを言ってるだけだと思ってたけど、あれって本当のことだったのね(笑)

夜、ドクター・ケン率いる担当医チームが5人で来てくれた。
術後に見せていた暗い表情は一転し、みんな安堵した表情だ(笑)

「正直あのまま出血が続いたらやばいなって思ってましたけど、持ち直しましたね!」
「ハイ、おかげさまで、ありがとうございます・・・」

話を聞くと、手術室での出血が3000、帰室してからさらに1000の出血で、トータル4000の出血があったらしい。
術後の採血でのヘモグロビン値は6.0で(記録更新だ!)、今後も貧血は続くだろうということ。

そして、ケンから驚くべき話が。
「正直、お腹を開けてびっくりしました。筋腫はもちろんたくさんありましたが、それだけじゃなく・・・」

癒着がひどく、とても妊娠できる状態ではなかったこと。医師が見ても、「よくこれで妊娠できたな」 という状態だったこと。
また、妊娠しても、早期流産や切迫流産、よくて切迫早産するケースであり、37週という正期産までもってこられたこと、赤ちゃんがちゃんと成長できたことが驚きであること。
「今回は僕たちにとっても、とても勉強になりましたよ」

そして、研修医の女医さんから。
「本当に今回は、すごい確率の積み重ねでの出産でした。このお子さんは大切に育ててあげてください。私にもとても勉強になりました」

さらに、手術に立ち会えなかったチームの先生が、
「僕たちは外来が入っていて手術には入れなかったんですが、時間がとれたときに何度か手術室に入ったんですよ」
「ああ、気づいてました。カーテンで顔は見えなかったですけど、『もう面白いところは終わったよ』 って会話してましたよね(笑)」
「聞こえてましたか(笑)! あれ、『難しいところ』 って意味なんですけどね。難しいとか危ないって言うと患者さんが怖がるから、ああいう表現にしてるんです」
「そんなことだろうと思ってました(笑) それにしちゃ、『面白いとこ』 は数回ありましたね。1回じゃなくて」
「イイダさん、よく聞いてますね(笑)」
「ヒマだったもんですから・・・w」


先生たちからも麻酔科の先生からも看護師さんたちからも、 「今回の手術はとても勉強になった」 と言われ・・・、一体私はなんと答えたら良いのだろう(笑)

ただ、とても大変だったということはよく分かった。
そして、今回の妊娠と出産は、本当にいくつもの幸運が重なって、辿りつけたものだったことも。

この赤ちゃんは、大切に育てます。
先生たちが一所懸命に助けてくれた命を、無駄にはしません。
自立した、立派な人間に育てることが、私たちができる最大の恩返し。
この子を授かったことには意味があると、ずっと思ってた。今は本当に、それを痛切に感じる。



結局、私の体の回復が全く間に合わず、歩行訓練はできなかったし、赤ちゃんにも会いに行けなかった。
そのことを夜に看護師さんに言うと、なんと病室に赤ちゃんを連れてきてくれた。
私は起きることができないので、腕枕させてくれた。暖かくて、軽くて、重くて、柔らかくて、フニフニ言ってる(笑)
まだ目は見えないはずだけど、私の方をじっと見ている。私が分かるのかな?
ビー玉みたいな目で私を見上げて、笑いかけて、あくびして、くしゃみした(笑)

看護師さんが、「不思議なんだけど、赤ちゃんってママが分かるみたいですね」
まだ全然、お世話もしてないのにね。不思議ね。

これからは3人で、仲良く楽しくやっていこうね。
今度は私が、歩いて新生児室まで会いに行くからね。待ってて!!






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