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長くなるので、分割して書いております。
滅多にない経験だし、こういう話を聞ける機会もなかなかないと思うので、割と・・・いや、かなり詳細に書いております。
冗長にすぎるかもしれませんが、私にとっても思い出深い出来事ですので、できるだけあったことを残しております。
お時間のある方、興味のある方はお付き合いください。


初めて読む方は、『37W0d:手術~その1~』 からドウゾ。



束の間の対面の後は、赤ちゃんはすぐに新生児室へ行って状態を診るらしい。
「お母さん、赤ちゃんはお預かりしますね」
「はい、お願いします!じゃあね、手術室の外にお父さんが待っとうけんね、ごあいさつしといで。お母さんはお腹をふさいでから、あとから行くけんね。お父さんによろしく伝えとってね・・・」


さあ、あとは縫い合わせて終わり・・・なのだが、ここからがドクター・ケンと私の山場(笑)

「センセー、子宮の縫い代はありますか?筋腫は大きく動いてます?」
「それは大丈夫そうです。縫い代はあります」

そっか・・・ホッ。ここで縫い代がないと、一気に大変なことになるらしいからな。それならひと安心、手術は意外とすぐに終わるかも?
なんて思ったのがシロウトの浅はかさであった・・・。

赤ちゃんが出てしまって、一気に私の緊張も解けてしまった。
やることもないので、またケンの指示をマネしてヒマつぶし。

それにしてもさっきから「サンゼロ、サンゼロ」と言っている。
サンゼロってなんだろ。サンゼロいっぱい使うんだなあ。状況から察するに、縫合の糸か針の太さかな?

「サンゼロください」
「サンゼロ~」
「サンゼロください」
「私にもサンゼロ」
「サンゼロください」
「そんなに使ってサンゼロなくなりませんか~」

しかし、だんだん呂律が回らなくなってきて、私のリピートも皆に届かなくなってきたようだ。
おかしいな、麻酔のせいかな?意識もモーローとしてきたぞ。
ケンが麻酔のM田先生に質問しているのが、遠くに聞こえる。

「出血どのくらいですか」
「1900です」
「自己血入れましょう」

おお、ついにきたぞ、自己血!!あるかなきかの300ccだ。
おかえり、私の血液よ!!!!!


しかし長いな、この手術。
時計を見ると、もう1時間20分をすぎている。

「あのー、もう子宮縫い終わりましたか?今はお腹をふさいでるとこですか?」
「まだです。今はですね、前の手術の後の癒着がひどいので、そこを処置してるとこです」
「ははあ・・・私、前回の手術の後はかなり歩いたんですけどね・・それでもだめだったですか」
「筋腫の場合は癒着はどうしてもひどくなるんですよ」
「ははあ・・・・じゃあ今回もさらにひろくなるんれすねえ」
「そうです、だから歩け歩け、です」
「なるほろ・・・がんまります・・・」

ん・・・さらに呂律が回らなくなってきたぞ。


カーテンの向こうでは、ケンとイーラ女医が引き続き、一所懸命にナニカをひっぱりっこしている。
お腹がぐいぐいと引っ張られるのが不思議な気分だ。

「うう、チョー引っ張られる感じ・・・」
「イイダさん、分かるんですか?今、腸の癒着をはがしてます。分かります??」
「いや、私が言ったのは腸じゃなくて、チョー・・・超って意味・・・」

冗談のような会話だが、もはや呂律も回らぬし、意識も半分うっすらとしてきた。
しかし、癒着をはがす作業は少しも終わりが見えぬ。もう手術開始から1時間半をすぎたぞ。手術説明によると、「手術は大体1時間半。2時間は超えません」 という話であったが、一向にお腹をふさぐ気配がない。

「あのう、癒着ひどいですか・・・」
「かなり・・・あ、そっち持ってください、はい、・・・」

ううん、忙しそうだなあ。
しかしなんだか疲れたぞ。すごく疲れた。突然に疲労の限界に達した感じだ。疲れた、もうやめてほしくなってきた・・・。

「あのう・・・」
「はい?どうしました、気分悪いですか」
「いえ、あの、疲れました」
「そ、そうでしょうね、がんばってください、あと少しですよ」
「いえ、先生方の方が数倍お疲れになってるだろうと・・・大変だなあと思って・・・」
「そんなこと気にしないでいいですよ(笑)、僕らは全然大丈夫ですから!」

違うんです、今のは遠まわしに近まわしに、「もう癒着はいいですからやめましょう」 って言ったんです(泣)

うまく言えないんだけど、もう、泣きたいほどに疲れたの(涙)!
なんで急にこんなになったのか分からないんだけど、疲れたとしか言いようがないこの倦怠感。
今考えると、貧血の症状のひとつだったのかな。

意識も朦朧としてきたし、指示リピートするのももう疲れた。
黙って目を閉じて、心を落ち着けていたら、突然ケンが・・・・


「あ、全滅」


え!?
なに、全滅ってどーゆーこと!!!!!


これは聞き捨てならぬ。意識モーローとしてる場合ではないぞ。

「あの!!全滅ってどういうことですか??何かやばいんでしょうか!?」
「あ、違います、電メス、って言ったんですよ(笑)」
「ああ・・・電メスか・・・・・何が全滅したのかと思った」
「言いませんよそんなこと(笑)!!イイダさん余裕ですね」
「余裕じゃないですよ・・・それにしてもセンセー、疲れませんか」
「僕らは全然大丈夫ですよ、気にせずにリラックスしててください」

いあ、だから、もう病室に戻って眠りたいんですよ・・・。


それからもえんえんと癒着をはがす作業は続き、気がつくと私の手を握ってくれていた看護学生も、私の相手をしてくれてた麻酔のM田先生も、みんな術野に釘付けになっている。
なによ、あたしのお腹って一体どうなってんのよ(怖)、誰か上手に怖くない程度に説明してよ(笑)!!

「出血どのくらいですか」
「2300です」
「○○を10単位お願いします」
「えっ、さっき5単位入れたばっかりですよ」
「いいです、入れてください」

麻酔の先生がびっくりしてるな・・・なんか普通じゃない指示なのかな。
場の緊張感とは裏腹に、BGMは軽快に 『ハイサイおじさん』 が流れている。
誰だよ、こんなBGMチョイスしたの(笑)!!
仕方ないので、遠ざかる意識を繋ぎとめるためにも、小声で一緒に 『ハイサイおじさん』 を口ずさんでみる。
どうもあれだな、こんな重要なシーンなのに、ミョーに緊張感が抜けるな・・・。


ケンとイーラの会話が聞こえてきた。『赤井パニック』 とかいう単語が聞こえてくる。
赤井先生(仮名)というのは、私もお世話になった先生の名前だ。

「これは赤井パニックですかね(笑)」
「いや、あそこまではいかない」
「あのときはこんなもんじゃなかったらしいですね~」
「レセプト通らないんじゃないの!? ってくらいだったからね」
「赤井パニックは伝説ですもんねえ」

なるほど、詳細は分からぬが、これはラリーで言うところの、劇的に刺さったドライバーの名前がつく 『○○コーナー』 的なやつだなw
どこの世界も、不名誉な命名というのはあるもんだ(笑)


そんなことをぼんやりと考えていると、突然全員が 「おめでとうございました!」 と声を揃えて言ってきた。
あ、手術、終わったんだ・・・。



『37W0d:手術~その4』 につづく











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