上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
長くなるので、分割して書いております。
滅多にない経験だし、こういう話を聞ける機会もなかなかないと思うので、割と・・・いや、かなり詳細に書いております。
冗長にすぎるかもしれませんが、私にとっても思い出深い出来事ですので、できるだけあったことを残しております。
お時間のある方、興味のある方はお付き合いください。


初めて読む方は、『37W0d:手術~その1~』 からドウゾ。


背中に針を刺されつつ、暢気なケンの後姿を見ながら、一所懸命に他のことを考える。
なぜか手術室のBGMは、沖縄民謡のインストゥルメンタルw
好きなCDを頼めばそれをかけてくれるらしいが、私は特にリクエストしなかったので・・・これは誰かの選曲なのだろうw
目をつぶれば、沖縄のビーチ沿いのバーにいると思えなくもない。(いや無理だが)
ここは沖縄。私はリゾートでのんびりくつろいで、ピニャコラーダを飲んでいる・・・と強引に妄想。
なるべく現実を忘れて妄想にひたれるように、妄想の中でカクテルグラスを持ってみる。
その手つきを、看護学生が不思議そうに見下ろしているが、いや、こっちは必死なのよwww

麻酔が効いているのを確認し、いよいよ手術開始!
近寄ってきたケンに、「先生、お願いします」 とご挨拶。いつものキョロリとしたケンの目を見ると、どこか落ち着いてきたw

「じゃあ、消毒しますよ~」
「はい、お願いします」

念入りに何度も消毒して、いざ・・・!

「センセー、もう始まってますか?」
「いや、まだですw」

「センセー、もう手術始まってますか?」
「まだですよw」

ぬう、意外となかなか始まらぬものよ。気長に待とう。

と、突然目の前の時計が動きだした!ついに始まったな?
ホントだ、痛くない。なんかいじられてる感覚はあるけど、痛みとかは全然ないや。

「ホントだ~・・」
「え、なんですか?」

私の顔の横にいてくれる麻酔科のM田先生が聞いてくる。
「ホントに痛くないんですね~」
「そうですよ、痛かったら大変ですからね(笑)」
まあ、そうだw

ケンが手術道具を指示するのを聞いているが、そういや、最初の「メス」を聞き逃したぞ。いつのまに切ったんだろう?

ケンは忙しそうだし(当たり前だが)、顔の前にある布のせいでケンの顔は私からは見えないので、なんとなく蚊帳の外っぽい雰囲気。
ケンは助手のイーラ女医と楽しげに雑談しながら手術を進めている。
何の話をしてるのかな。マスクしてるから聞きづらいや。私も雑談に入れてくれないかなー。
ヒマなので、ケンが指示する手術器具の名前を復唱してヒマつぶし。

「ペアン」
「ペアン鉗子だ、聞いたことある。ブラックジャックで言ってた」

「○○器ください」
「○○器・・・?ください。」

「コッヘルの曲がったのありますか」
「コッヘルってなんだろ、キャンプ道具じゃないっけ」(無視された)

「ペアン」
「またペアンか」


「・・・イイダさん、さっきから何を言ってるんですか?気分悪いですか?」
と心配した麻酔のM田先生が酸素マスクを取ってくれた。
「いえ、特に意味はないです。今なにしてるとこですか?もう子宮に到達しましたか?」
「いや、もう少しですね」

ふうん・・・ザックザク切っていけば、あっという間に子宮に到達するのかと思ったけど。
そういや、大体30分で赤ちゃん出てくるって言ってたな。まだ20分も経ってないのか。

「センセー、赤ちゃん動いたら切りにくいものですか?」
「そんなことないです、大丈夫ですよ」
「今は赤ちゃん動いてますかー?」
「今はどうだろう、動いてないかな」
「ふうん・・・」

よくしゃべる患者だと思ってるだろうなw
だってヒマなんだもん・・・。

途中、寒くなったり気持ち悪くなったりしたので、都度その旨を麻酔科の先生に告げると、すぐにタオルを用意してくれたり、血圧調整してくれたり、吐き気止めを入れてくれたりする。
そしたらすぐに楽になるのがびっくり!!麻酔科医ってスゲー。
そういやウーも麻酔科だ。ウーならもう少し話相手になってくれそうなもんだが、M田先生は真面目な方なのであまり無駄にしゃべらない。私が術野を見られないので、M田先生による詳細な手術リポートを期待してたのに、残念だ。

「あ、もうすぐ赤ちゃん出てきますよ」
「え、本当ですか!!」

「ちょっと子宮を押しますからね~、せーの、フー!」
「ふ、フー!」(痛くはないが、気分的に呼吸法w)


「オギャーーー!!」


う・・・生まれた!!!
時計を見ると、11時03分。手術開始からわずか20分。
生まれた・・・元気に泣いてる・・・・・生きてる、やっと会えるんだ!

「ほら、元気な男の子ですよ」
と、ケンがカーテンごしに生まれたての赤ちゃんを見せてくれる。
小さい・・・血まみれなのは当然として、びっくりしたのはその肌の色!! とても人間の肌の色とは思えぬ。
数年前のソネットでゾンビ化したゾンビよりもすごい色だ。
あれは大丈夫なんだろうか。

すぐに赤ちゃんは助産師さんの手で隣室に行き、体を拭いて体重を量ったり呼吸を見たりするらしい。
赤ちゃんは私の視界から消えたが、元気な泣き声がずっと続いている。

「赤ちゃん、元気いっぱいですね!」
と、麻酔のM田先生が笑いながら話しかけてくれる。
遠くから赤ちゃんの泣き声が聞こえてくるだけで、とても幸せな気分になる。
あの子がずっと私のお腹にいたんだな・・・やっと声が聞けた・・・。

赤ちゃんの状態を確認した後、助産師さんがもう一度赤ちゃんを連れてきてくれた。
「お母さん、赤ちゃんですよ」 と、私の顔の横に赤ちゃんを寄り添わせてくれる。
赤ちゃんは小さくて、暖かくて、柔らかくて。
麻酔科の先生が、私の顔にかかっているタオルやカーテンをよけて、赤ちゃんと頬をつけられるようにしてくれた。
そのとき触れた、赤ちゃんの暖かさ、柔らかさ。確かな手ごたえ。
私は一生、忘れないと思う。


そうしている横で、慌てて麻酔のM先生がカメラを準備(笑)
「こっちからのアングルでいいですか、術野が入らないようにするのでアングルに限界がありますが」
「いいですいいです、赤ちゃんと私が写れば・・・」


はじめまして、よくがんばってくれたね。ありがとう!
P1040278.jpg

ようこそ、この美しき世界へ。
よく37週もがんばってくれたね・・・今日までの日々、どれだけあなたに助けられたか。・・ありがとう!


『37W0d:手術~その3~』 につづく





スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://risuco.blog94.fc2.com/tb.php/2543-a51dcdde
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。