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今朝見た夢。

私は、A硝子に勤務していて、ある案件について調査中である。
それは、『ある女性』に関すること。
以前から、その女性の周りではものがなくなったり、お金の流れがおかしかったり、ということが続いていて、私と上司で何度も調査をしているのだが、どうしても突き止められない。

彼女の名前は、『大林さん』。
20代の、普通の女性。どう見ても普通の女性なのに、彼女の周囲ではいつも、不可解なことが起きる。
彼女が関わっていることは明白だ。
そして今回は、人が消えた。

大林さんの周囲でおかしなことが起きるので、他の社員もなんとなく「証拠を残さないけれど、彼女が横領しているのだろう」と思っている向きがあった。
当然、そういう態度になる。
仲良くしていたランチ仲間も彼女を誘わなくなったし、テニス部や華道部からも、彼女は『穏やかな排除』を受けた。
彼女のいない給湯室では、ひそひそ声で会話がなされる。
それでも彼女は気にする風でもなく、毎日淡々と出社していた。
が、今回の長期休暇明けに、彼女と『静かな諍い』をしていた数人が、消えた。

消えたのは、ナカバヤシ、シバヤシ、コバヤシ、の3名。
大林さんと4人で「あたしたちハヤシつながりだね、ハヤシ会だね」と、よく一緒にランチなどをしていた(そして今では彼女を一番排斥していた)3人だ。

長期休暇明けの火曜日の時点で、3人とも無断欠勤2日目。電話にも出ない。
一人暮らしのアパートを訪ねても留守。
事故にあったという連絡もないし、何の手がかりもない。
ただ、同僚たちに聞くと、「大林さんからダイビング旅行に誘われたと話していた。最近は大林さんと仲良くしていなかったのに、変だねと話していた」という。
大林さん本人も、出社していない。

どう考えてもおかしい。
きっと、大林さんがかかわっている。
嫌な予感しかしない。
大林さんのアパートに行くために、電車のホームに立つ。
「・・・・大林だと思うか?」
と聞く上司に、
「考えたくないですが、そうだと思います。あの3人とは一番こじれてましたから」
と答えた。
電車が来る直前に、上司がふらついて、線路に落ちそうになった。
「あぶない!」慌てて上司の腕を引く。
上司は真っ青な顔でつぶやいた。
「・・・・・誰かに押された。」

慌てて周囲を見る。
いない。
ホームを走り、エスカレーターを駆け上がる。
いない。
もう逃げたか。
すると、死角から誰かに押されて、階段を落ちた。
幸い、数段落ちたところで人にぶつかり止まったが、全身ががくがく震えた。
大林さんだ。間違いない。
私たちが気づいたから。
これは警告なのか?いや、排除だ。
きっと、ハヤシ会の3人も、無事ではないだろう。

会社に戻って報告すると、ちょうど産業医からの報告があるというので、会議に加わった。(なんと産業医は高木ブーであった)
「実は、以前に行ったテストで、彼女には気になる点がありました。異常な自己中心性。特に問題ではないと思っていましたが・・・」
そこまで話したところで、産業医高木ブーが胸を押さえて苦しみだした。
「救急車を!」
運び出される高木ブー。担架がエレベーターに運ばれる。

これもなのか?ただの偶然?いや、偶然にしては・・・でも、どうやって?
そのとき、エレベーターホールに轟音が響いた。
「エレベーターが落ちたぞ!!」

怖い。私なんかにできるわけがない。
横に立った、上司が私に尋ねる。
「イイダさん、できますか。証拠がないんです。これでは警察も動いてくれません。証拠さえあれば」
・・・・・怖い。
「怖い。怖いです。私なんかにできるとは思えません。・・・でも」
でも既に、私は狙われている。
やるしかないのだ。彼女を見つけるしかない。
でも、どうやって?

薄暗い非常階段の踊り場に、ふと彼女の姿が見えた。
彼女は確かに、私を見て笑っていた。
足が動かない。彼女を追うこともできない。

というところで、目が覚めた。
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今朝見た夢。

私はいつの間にか、知らない場所にいる。
ここはなんだか、おかしい。
ものの見え方や、手触り、においも、全てに違和感がある。
そもそも、私はどうやってここに来たのか?それも分からない。
戻りたいのに、どうやって戻ればいいのか分からない。

途方にくれていると、ある部屋のドアに行き着いた。
なんとなく、「ああ、やっと着いた」という気持ちがあり、ドアに手をかける。
中には10人ちょっとくらいの人がいた。みんな知らない人ばかり。
でも、ここにたどり着くまでは誰とも出会わなかったので、やっと人に会えてほっとした。
私はその部屋の中で、何日?何十日?何ヶ月?時間の感覚が分からないその部屋で、仲間たちとすごした。

すごしているうちに、私がなんとなく理解したのは、ここは『意識の部屋』だということ。
名前がついているわけではなく、誰かが説明してくれたわけでもなく、自然と理解した。
つまり、私たちは実体が伴った人間ではなく、意識のみがここに存在するのだ。
では、体はどこに?
・・・・それぞれの場所に。
意識が離れた植物状態となって、それぞれのベッドに横たわっているのだ。
部屋にいるメンバーは、それを理解している人もいれば、まだ気づいていない人もいて、そして、それすらも忘れて意識体としての自分が、元の自分だと思い込んでいる人もいる。
でも、自分を忘れてしまった人は、戻れない。
だからといって、覚えていたって、戻れるとは限らない。

あるとき、ずっと気になっていたことを仲間に話した。
「不思議なんだけど、どこにいても、何をしていても、おでこのところに冷たい風が当たって、すごい嫌なの。これ何だろう?」
「ああ、きっと、あなたの体にそういう風が当たっているのよ。意識がこちらにあっても、感じるものは感じるからね。扇風機かな、窓かな」
「すごく嫌だな。ストレスだ。どうしたらいいのかな」
「それって、嫌だよね。いってみる?体のあるところに」

『意識の部屋』は、誰かの体のある世界に合わせて移動するのだが、そのためには多くのエネルギーを消費するため、そうそう簡単なことではないらしい。
さらに、『意識の部屋』は、常に誰か1人はいないと、部屋が消滅してしまうらしいので、あまり部屋を移動させるなどということはやらないらしいのだが、「体の一部分に常に風があたるのは、体のためにも良くないし、イイダさんは一度も戻っていないし」ということで、やってくれることになった。

気がつくと、私は母のアパートの部屋の前にいた。
ああ、ここはいつもの景色。いつものにおい。
私のいる世界だ。
そっとドアを開けると、薄暗い玄関に、大きなボストンバッグが置いてあり、奥の部屋で母が支度をしている音が聞こえる。
それだけで、全てが分かった。
母は、病院で横たわる私の世話をするために、着替えやタオルや、いろんなものを準備しているのだ。
母なら分かってくれる。
私は母に会うことも、話すこともできないので、いつも使う水色の便箋に、いつものペンで走り書きをした。
思うように手が動かないし、実際のモノをさわって意のままに操ることは、今の私には到底難しいので、これだけ書いた。
「おでこに風があたります」
私が手紙を書けるわけはないし、誰かが玄関に入ってきて意味不明のメモを残すということもありえない。
母は不思議に思うだろうけれど、きっと気づいてくれる。
そしてきっと、私の意識は生きている、とわかるだろう。

母が立ち上がる気配がした。
私は母に会うことはできない。
私の姿は他人には見えないが、肉親には見えるらしい。
が、見えてしまうともう、自分の体には戻れなくなってしまうのだ。それが『最期のあいさつ』となる。
母には会いたいが、会うわけにはいかない。

そっとドアを出た。
ドアの向こうで、母がメモに気づく気配がする。
「・・・・風?」
しばらく後に、かすれた声で「ゆきちゃん・・・」と聞こえた。
慌ててボストンバッグを持って靴を履く音が続く。
ああ、気づいてくれた。
『意識の部屋』に戻ると、私のおでこにあたる風はやんでいた。

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